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(3)言と事と琴

時空を超えて(3)──五条天神社に関わる前々回からの話の続き

古く、日本では、「言」は「事」になると信じられていた。
そしてその「言」、なかでも「神の言葉」を引き出すのには「琴」が必要でもあった。

つまりシャーマンが神懸りするためには、音楽が必要だったということである。
琴は特別、言を引き出す道具と思われていたから「コト」というのだろう。
日本書紀に、神功皇后が神懸りする際に、武内宿禰が琴を弾き、
中臣烏賊津使主が審神者(サニワ。神の言葉の通訳。神懸りして語る言葉は通常の人間には意味不明だったりするから)になったという話が載るように。

「異」なる世界にすむ神の「言」を「琴」をかき鳴らして知り「事」とする。
「コト」を一列に並べてみれば、面白い。
(そういえば「小男の草子」でも小男がお姫様の部屋へ入る重要な部分で「琴」が使われている)

ちなみに「酒」や「坂」も神との「境(サカイ)」にあるから「サカ」。
お酒を飲んだら、某タレントではないが通常の自分ではなく何かが憑いたような感じになるし、坂の先に「山=神」がある。

これらはすこし古代史をかじったり、民族学をかじったりした人なら知っていることである。

シャーマンがテンション上げて神とともにいる状態(トランス状態、遊離状態)になるのには、
音を鳴らしたり、歌ったり、踊ったり、酒を飲んだり、
とにかくそのようなことをしたのである。
シャーマンだけでなく、村ごと、神と交流するのにも同じことをした。
今でも祭りには鉦や太鼓を鳴らしてお酒を飲んで踊る。
昔はそうした状態で、性の交歓もあった。

神を和ませ、神とともにいる状態、
平常の自分の魂が飛んで神に近づき、神を楽しませ、神と交歓することを
「遊ぶ」と古くは言ったそうだ。
自分が遊ぶ、のではなく「神が遊ぶ」、「神を遊ばせる」のが「遊び」だったらしい。
また神だけではなく、死者の魂と交流するのも「遊ぶ」といった。
つまり異界にすむ神や死者(とくに死んだばかりでまだ魂がそのへんに遊離して浮いているような)との交流をも「遊ぶ」といったものらしい。

葬送儀礼、とくに、天皇と皇族の葬儀に際し、
殯に従事する「遊部」という民が、古代の日本にはいた。
柿本人麻呂もそうした遊部にいて挽歌を捧げる仕事をしていた人物ではなかったか、
と多くの研究者は推理して言う。

ところで、かつて「遊部」の民と深く関わり「遊びの丘」と呼ばれた場所があった。
奈良県葛城市の笛吹の里あたりで、
──吹く笛の杜の神は音に聞く遊びの岡や行き帰るらん──
「藻塩草」という書物にそんな歌が残されていて、だからその証拠で、
行き帰る、には異界と行き来する、という意味がある。

笛はかつて葬送には欠かせないもので、だからだろう
今でも夜に笛を吹くと魔物がよってくるという。

ところで、同じように、
「遊ぶの丘」とも「逝回(ゆきかえりorゆきき)の丘」ともよばれたところが、
かつて明日香にあって、その場所は、今は明確にはわからないけれど、
「雷丘」であるというのである。
その近く、明日香から橿原にかけて、遊部に関わる民が住んでいて
哭沢(なきさわ)神社や「遊ぶ」の「あ」の字がなくなった「蘇武」地域があったりする。
(ちなみに笛吹の近くにも、橿原にも、どちらにも柿本人麻呂神社がある)

実はここでもし仮に「雷丘」が「遊ぶの丘」であったらば、
雷が、境界にいる「遊部の民」に、共通するものである。
なぜなら、笛吹氏族の産土神社は「葛木坐火雷神社」で
祭神は「火雷大神」と「天香山命」なのである。

だいぶ長くなったので、今回はここまでにするが、
この話と、刀を集めている大きな弁慶と笛を吹く稚児姿の牛若丸が、
五条天神社で出会ったという「義経記」にある物語にリンクするのである。
次回はそのあたりをすこし書こうと思う。

*コピペは禁止です。







 
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テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

尾川裕子

Author:尾川裕子
大阪女性文芸協会代表
日本文藝家協会会員

「晴れたらいいね」というタイトルは、「毎日が明るい日であればいいね」と思う気持ちと主催している文学賞の応募者に「あなたの作品が受賞できたらいいね」という思いを重ねたものです。

応募希望者は「応募希望者へ」と「大阪女性文芸賞」のカテゴリをごらんください。

おしゃべりと食べることお酒を飲むことが大好きです。
文学だけでなく歴史オタクでもあります。
どうぞよろしく。

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