スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

(2)柿の木に仏現ずる事

時空を超えて(2)

前回に続いて、京都の五条天神社にまつわるお話である。

この神社を舞台に、「柿の木に仏現ずる事」というお話が宇治拾遺物語集におさめられている。
また、ほとんど同じ話が今昔物語集にもある。
話は──、
醍醐天皇の時代に、五条天神社のあたりに大きな実のならない柿の木があって、その木の上に仏があらわれた、というので京の人はこぞって参り、大騒ぎ大混雑のありさまだった。
当時の右大臣(源光)は、おかしな話だ、ほんとうの仏があらわれたりするわけはない、化け物なら一週間も化けてはいられないだろうと、5、6日経った頃に、装束をきちんと調えて行って、その仏をじっと見つめたところ、始めはこの仏も花を降らせたり光を放っていたけれど、あまりにじっと見つめられるので、その眼力にまけてしまい、(正体を現したのだが、それが)羽根の折れた大きなクソトビで、地面に落ちてバタバタしたので、子供たちがよってたかって打ち殺してしまった。大臣は納得して帰り、みんなも大臣は賢い人だと噂した──。
宇治拾遺物語と今昔物語の話を合わせて説明するとこういう話である。

実のならない柿の古木、というものは当時は、化け物でも仏でも、不思議なものが現われてもおかしくない特別な木、と信じられていたようだ。(つまり、くどいが「垣」の木だから)

ところで、この話の「クソトビ」。私はこのクソトビに注目してしまう(笑)。
クソトビというのは鷹の一種で、別名「ノスリ」ともいう。
この鷹は「野を擦る」ように飛ぶということからノスリになったらしいのだが、
漢字がすごい。
パソコンでは出ない字なので、想像して欲しいが「鳥」の字の上に「狂」がのる。
例えば、これは→「(サギ)」、だが、この鷺の字の上の部分「路」の字の代わりに「狂」がのるのである。
そしてそれ一字で「ノスリ」と読むらしい。
らしい、というのはこの字を使ったものを、実際に私は見たことがないから(笑)。

とすれば、この話、異界との境の木の上に狂った鳥が現れて人を騙した、ということになる。
鳥自体が天界と地上を行き来する、昔は神に近い生物と思われたものである。
そして、この木に現れたのが偽とはいえこの世ではない世界にあるべき「仏」。
なんとよく計算された話ではないか。

この五条天神社のあたりはかつて境界の地だったのだろう。
だから道祖神をも祭った。
今昔物語集では同じ柿の木を「五条の天神のあたりに」ではなく「五条道祖神の横」にあったことになっている。もっとも五条天神社の敷地は広く、道祖神も敷地内にあった。
ちなみに今昔物語ではこのクソトビは天狗であるということになっている(いったいに昔は天狗は鳶に化身すると思われていたらしい。ただしクソトビは鳶ではなく鷹の一種である)。

じつはその境界に、古代の日本では、歌舞音曲が存在していた。
神や死者の魂と現世の人との往来に、和歌や舞や音楽が必要だった。+セックスも。
それについて次回書こうと思う。

*コピペは禁止です。




スポンサーサイト

テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

尾川裕子

Author:尾川裕子
大阪女性文芸協会代表
日本文藝家協会会員

「晴れたらいいね」というタイトルは、「毎日が明るい日であればいいね」と思う気持ちと主催している文学賞の応募者に「あなたの作品が受賞できたらいいね」という思いを重ねたものです。

応募希望者は「応募希望者へ」と「大阪女性文芸賞」のカテゴリをごらんください。

おしゃべりと食べることお酒を飲むことが大好きです。
文学だけでなく歴史オタクでもあります。
どうぞよろしく。

月別アーカイブ
最新記事
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。