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(1)小男の草子

時空を超えて(1)

前回、柿本人麻呂の柿は垣根の垣ではなかったかという折口信夫の説を紹介し、
「歌垣」や言霊の話を書いたら、すぐに、京都の五条天神社にまつわるお伽草子の「小男の草子」や、かつては同じ敷地にあったという五条道祖神の柿の木の梢に化け物(クソトビ、鷹の一種)が止まって京の人を騙した話などが、
「歌」「垣」というキーワードで、まるで芋蔓式に浮かんできたのですこし書きたくなった。

歌垣は、歌を掛け合っている相手との一種の呪術のような「言霊」の勝負なのだと聞いたことがある。
つまり魂のこもる歌に負けたら、魂の外側にある身体もまかす、というような話だったと思う。
そして、歌垣の開催される場所は、神の庭であるような山(神との境界)や、国と国との境(人が行きかうので市場になっていたりする)なのだという。

さて、「京都の五条天神社」である。
京都市下京区松原通西洞院西入にあって、平安遷都にともない、大和の宇陀から勧請されたという歴史のある神社である。
祭神は今は少彦名命と大己貴命になっているが、元は小さな子供の姿をした雷で、だから「天神」を名乗る鎌倉時代より前は、天から降ってきた子「天子」からくる「天使社」だった。
そしてこの神社にまつわる話に、先ほど書いた「小男の草子」というのがあるのだ。

それは──、
背丈一尺(約30センチ)の小さな男が上京し、清水寺のある山の落ち葉を掃くような仕事をしていたが、ある日、参拝する人の中から身分の高い美しいお姫様を見初めた。
身分違い、姿も異型の男だったが、彼には特別和歌の才能があり、その力で彼女を妻にすることができた──。というような、一寸法師の原型とも言われる話である。

この物語に関して、現代の私たちの感覚で、和歌の才能が女性を魅了した、というだけでは「あーそうですか。一芸に秀でていればよいのですね。めでたしめでたし」と思うだけで、もう一つピンとはこない気がする。
このお話の本当のところは、もっと深くて、
前述したように、日本の歴史の中に「歌垣」というものがあって、
歌にこめられた一種呪術のような力が、姿や身分などの境界を超え、姫の魂と肉体をとらえた、のではなかろうか。
まだ「言霊」が活きていた時代にストーリーの元が出来たような気が私はする。

この話を深読みすると、柿本人麻呂が天皇の后と通じたという伝承(そういう伝承があるのですよ。しかもその后が誰かもわからない、文武の后というのがあったり持統という話があったり。「柿本人麻呂」自体も謎だらけなのです)も、和歌の力、言霊の力が、境界を超えるということでできた、根本は似た話ではないかと思ってしまう。
                                       ( この神社にまつわる話はつづく)

以前に、日経新聞の公式サイト「日経ネット関西」で「時空を超えて」というタイトルで連載を9回したことがあった。
今回書きながら、それを思い出し、せっかく作ったブログなので、これからもその続きになるような関西にまつわる話を私の視点でいろいろ綴ってみようと思う。
今回はその(1)とした。
ちょっと長くなりそうなので、まずはここまで。
次回は続編で、同じ神社に関わる柿の木に化け物が出た話などを書くつもりです。
*なお、このシリーズの著作権は著者の尾川にあります。コピーは禁止です。

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テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

尾川裕子

Author:尾川裕子
大阪女性文芸協会代表
日本文藝家協会会員

「晴れたらいいね」というタイトルは、「毎日が明るい日であればいいね」と思う気持ちと主催している文学賞の応募者に「あなたの作品が受賞できたらいいね」という思いを重ねたものです。

応募希望者は「応募希望者へ」と「大阪女性文芸賞」のカテゴリをごらんください。

おしゃべりと食べることお酒を飲むことが大好きです。
文学だけでなく歴史オタクでもあります。
どうぞよろしく。

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