(4)川と女と文学と

時空を超えて(4)
──このシリーズの前回の話からはすこし話が横にずれます。

大阪は都心を縦横に川が流れる水の都です。
そんなことで今年は大阪市と大阪府、大阪の様々な団体がそろって、
8月22日~10月12日まで「水都大阪2009」
というイベントを企画しています。

私が年に2度文学講座をしているリーガロイヤルホテル大阪でも
それにちなんだイベントをいくつかします。
私は9月17日(木)に「川と女と文学と~」というタイトルでお話しします。

最初は大阪の特に中之島周辺の川を舞台にした小説作品をなにか
と、思っていたんですが、みなさんによく知られているものだったり
あまりに古い大阪を舞台にしたものだったりで、
私がお話ししなくても充分ではないかと一度は思ったんです。

しかし、中之島周辺で取り上げようとした作品
宮本輝氏の「泥の河」も近松の「心中天の網島」の名残の橋づくしも
水上瀧太郎の「大阪の宿」にも遊女や娼婦が登場するのですね。
べつにそれらは共通の物ではないのですが、
私の中で、ちょうどこの「時空を超えて」で書いていた「境界」と「遊び」に
リンクしてしまったのです。
それで、そのことも含めてお話しすることに決めました。

実は「川」「海」「湖」というのは、
こちらの世界の向こうにある異界と大昔は考えられておりました。
岸辺が境界です。

大昔、道路の発達していない時代には川は幹道になりえました。
舟があれば、海も川も自由に動け、文化の違う異世界へ
渡ることも来ることも可能でした。
水の中もまた異界でした。
水は不思議なものです。水は天から降り、その天を、水は鏡のように、太陽も月も星も写します。
古代の人は、水中に星が棲んでいると思ったようでもありました。
また水は汚れ穢れを洗うもの、つまり聖なるものでもありました。

さて、その境界に、異界にすむ神を迎えるべく聖なる女がいたと
折口信夫を始め、多くの研究者は考えているようです。
たとえば現在の信仰ある家の神棚のように、
神の降りて来られる場所として、この世界よりもすこし高い位置に特別な棚をつくり
そこで聖なる女は神の着衣を織っていたのではないか、と。
ここまで書くと七夕の織姫を思いますよね。
そうなんです。
「タナバタ」のタナは棚でバタは機織の機、
もともとそういう信仰が根深くあった日本では、
中国から入った牽牛星と織女星の伝説のなかの
織女と激しくリンクされて、「たなばた」といわれるようになったのではないかといわれています。

話を戻します。
川辺、水辺にいた聖なる女は、神に奉げられた女です。
神の依りくる境界にいて、神と「遊ぶ」女です。

前回「遊ぶ」ということに関してすこしお話をいたしました。
神と交流するために、テンションをあげるために
お酒を飲んだり、歌ったり、踊ったり、音楽を奏でたり
あるいは性の交歓もする、という話です。
性というのはその行為自体、興奮し、境界にまでいたります。

ところで、神に捧げられた女のことです。
神とは肉体の無い神もありましょうが
現人神という存在もあります(歴史のある神社には宮司=神というケースがいくつか認められる)。
神の子孫で、人でありながら神でもある「現人神」へも、
祭祀としての、神遊びに女は奉げられました。

采女や遊女の起源に関して、解明できない謎が多いですが
そうした神祭りに神の妻になった女たちの末裔が
遊女ではなかろうかという説があります。
私もそう思っています。
そして聖なる女であった遊女の地位は
武士の時代になる以前、
現人神である天皇中心の、祭祀が重要だった時代までは
(つまり、マツリゴトのマツリが政治の政ばかりではなく祭祀の祭が大きくあった時代までは)
それほど低くはなかったのです。
平安時代には上皇に愛されて皇子を産んだ遊女もおりました。
貴族の子を産みその子が貴族になったケースもありました。
なにより女官として遊女たちは舞を舞ったりもしています。

後白河法皇に寵愛され皇子を産んだ遊女「丹波局」は
淀川の河口=「江口(えぐち)」の遊女でした。
現在の大阪周辺にある川の岸辺には
そうした遊女たちが舟を浮かべて暮らしておりました。
後世の時代の遊女像とは違う
神に近い女としての遊女たちのお話を中心に、
9月17日の講座でしたいと思います。

よろしければいらしてください。
川、水にちなんだ、シェフによるフランス料理のランチつきで、
六千円です。
詳細、お申し込みはこちらリーガロイヤルホテル大阪




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テーマ : 雑記
ジャンル : 小説・文学

大津の夜

昨日、滋賀県に住む友人の作家・畑裕子さんと彼女の夫で環境学者・畑明郎さんが同じ時期に本を出版されたということで、ご夫妻での出版を祝う会があって、私が司会をするため、前の夜から泊りがけで大津市に行ってきました。

夫婦での合同出版記念パーティというのはめずらしいのですが、
このお二人、15年前にも同じ時期に本を出され合同で出版記念会をして、
そのときも私は司会をしたのです。
ですから、今回も、と、頼まれたしだいです。

遠いし、朝早くから動くのは苦手な私、そしてパーティ開始はお昼の12時、
司会をするなら打ち合わせの時間を考えて10時頃には大津まで行かなければなりません。
及び腰の私でしたが、そこは長年付き合いのある畑さん、ホテルを取ってくれました。

しかし、しかし、午後5時に畑裕子さんと夕食を食べて、
7時半にはお別れし、ホテルに一人で残されちまった私、
夜は長い、繁華街とは遠いホテル、おいおいおい。
ホテルの自販機には、
缶チューハイ(一種類しかなかった)
缶ビール(つまみ無いのにビールだけではな~~。近所にコンビにも無く)
ってことで、チューハイ一缶買って飲んだけど、甘いし、酔えない。

大津には、飲み友達が某社の総局長として赴任しているのですが、彼女に会ったらつい飲みすぎてしまいそうで、翌日の司会に支障が出てはいけないし。
それで私は何をしたか、
肩が凝っている(いつも異常に凝っている)のでマッサージ呼んで
もんでもらい、(これがスコブル上手であった。よかった。って、オッサンだなこれでは)
翌日に備えて早くに寝たのであった。
(持参した文庫本も照明が暗くて読めなかったから)

けれど、普段夜中まで起きている生活の人間が、そんなに早くに寝られるわけもなく
何度も何度も小刻みに目が覚め、ジタバタしながら大津の夜は明けていったのであった。
やっぱり、友人に電話して飲んだらよかったような気がする。
もったいない夜であった。

さて肝心の出版を祝う会は、
お二人のお人柄でしょう、和やかで楽しい会になりました。
開始前のリハーサルで「千と千尋の神隠しの主題歌」を歌うと聞いていた方が実は「千の風になって」を歌うつもりだったことが判り、それで同じ曲を別の方に頼んでいるので、どうしましょう、ということやら、アトラクションで「南京玉すだれ」をするのを「天津玉すだれ」だとパンフレットに書いているもので、ほんとうに「天津」でよいのか、と確認するやら(やっぱり南京でした。あたりまえだけど。でも一瞬、別流の玉すだれがあるのかと思ったんですよ。天津なら、普通は天津甘栗か天津飯ですもんね。もっとも、天津甘栗も天津飯もご当地とは関係なかったりしますし、南京玉すだれも南京とは関係なく日本で出来たものらしいですから、まあ南京が天津でも何でもいいのではありますが、司会の私が間違えてしゃべった、物を知らんと思われたくはないですからね)、ほかにも飛び入りがばんばん出るやら、色々ありましたが、盛り上がって楽しい会でした。

あー、しかし、久しぶりの司会で疲れました。
それで、帰りの快速電車では居眠りをしながら帰りました。










テーマ : 日記
ジャンル : 小説・文学

西日本パスはよかったなー

博多行きから、一週間経ったけれど
しみじみ、「西日本パス」に感謝です。
二日間乗り放題で12000円、って、
博多まで普通なら新幹線の片道料金ですもん。
その情報を知ったときから、もうウズウズしていました。

で、先日は書かなかったのですが、
二日間新幹線も特急も自由席は何度でも乗り放題
指定は四回取れる、というので
とっくに大阪のおばちゃん化している私
(元は北海道の人間ですがね、もう北海道にいたときより大阪に住んでいる年月のほうが長いのです。なにしろ大阪生れの玄月さんに「大阪のおばちゃんっていうと僕のイメージでは尾川」と、ほんまかいそれ、生粋の大阪の人は私の大阪弁は変やと言うで、玄月さんの耳はどうなってますの、豹柄の服も持ってないし、バッグに飴ちゃんも入れてないし~、と私としては突っ込みたくなるような発言をされたくらいです。そのくらい恐いもの知らずのおばさんになってるのでしょう。大阪女性文芸協会のことではどこにでも突撃してあつかましく物を頼み込みますから)
お得なチケットなら、ただ博多大阪間往復だけでなく
なんか他も見たい行きたい食べたい、と。
もっともっと得したい(貪欲な私)

いろいろ考えたのですが
博多のホテルを出たのがのんきにお昼の12時です。
あんまり遠くまでは行けません。
それで佐賀へ行ってみようと、特急に乗りました。
佐賀までなら35分くらい。
ほんとうなら佐賀で会ってみたい文学関係の方々がいたのですが
突然決めたことなので、連絡も出来ず、
佐賀のにおいを嗅いできました。

あ、においだけではありません。
まだランチタイムだったので、うふふ
JA佐賀が経営しているレストランで、
佐賀牛のお刺身(2000円)とお得なランチ・国産牛ステーキコース(1500円)食べてきました。
佐賀牛のお刺身、量もたっぷりで、すこぶる美味しく、幸せでした。
小城羊羹も試食三昧のうえ、買ってまいりました!
外側にお砂糖がジャリジャリしたあっさりめの昔ながらの羊羹、すばらしいお味でした。

それで、たっぷり遊んで結局帰宅は夜の9時。
朝からテキパキ動ける方なら
もっと有意義な旅ができたと思います。

帰宅してから、今も、しみじみ
西日本パスはよかったなあ
JR西日本さん、ありがとうございました、と心からお礼を申し上げたい。

そういえばこの西日本パス、今月末までだったのですが好評により一か月延長になったそうです。
もう一回使いたいとは思うけれど、来月は忙しすぎて、無理だと思う。
一度使えただけで大満足。


テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

博多と顔とパソコン

私のパソコンは4年位前にかったノートパソコンで、
容量が少ないのです。
なのに年数が経つので色々ゴミがたまっていたんでしょう
このごろ動作が鈍いしフリーズするしで、困っておりました。
そうしたら先日、突然「領域の空きがないのでクリーンアップを」というのが出て、
だから、おや、そうですか、とばかりにクリーンアップをしたけれど、
肝心のデフラグまでは空きが少なすぎて出来なくて、
入っているアプリケーションをいくつか削ったり、さまざま試みたのですが
悩みは深くなるばかり。
パソコンはなるべく触らないほうがよいような状態になってしまいました。

それで、パソコンをほったらかして、博多に行って参りました。

ちょうどJR西日本がJR九州とJR四国を含む西日本の全線を
12000円で二日間新幹線でも特急でも乗り放題、
という西日本パスを発売していたのです。
私は福岡に住む文学仲間のH脇さんに、14日の日曜日に会いに行きました。
会うのは2度目、以前彼女が大阪の姪御さんの所にいらした折に
会って飲みました。楽しかったです。
で、今回は私のほうから出かけました。

H脇さんと約束したのは午後5時半、
さっそく彼女に連れられて福岡市文学館に行きました。
赤レンガの古い建物の中に、福岡の文学者の資料が詰まっています。
しばし、そこで福岡の文学者の話を二人でしました。
そこの文学館が発行し、置いてある「文学館倶楽部」という新聞は
毎回なかなか骨のある面白い特集をしていて読ませますが、
ほかに福岡のさまざまな文学関係者をクローズアップして紹介しているのもいいです。
身近にこんな文学者がいると市民にわかってもらえ、文学が近くに感じる企画です。
H脇さんは小説のほうの、主に同人誌で活躍している方の記事を書いています。
私は「夢野久作とその妻・クラ」が特集された新聞を頂いて帰りました。

それからH脇さんと居酒屋に行き、飲みました!
そして中洲で屋台のラーメンをも食べました!
5時間も一緒に居たのにあっという間で、
何を話したんでしょう、私たち(ま、いいか)。
た~のしかった~~~。

翌日、H脇さんお薦めの芋焼酎のおかげか
はたまた博多ラーメンのコラーゲンのおかげか
騒いだのでストレスが発散されたためか
しばらくアレルギーで痒くてややこしかった顔が治っておりました。

実はこの博多行き、夫も同行しました。
夫の方は、博多に住む大学時代の友人のNさん夫妻にお世話になりました。
Nさんとは私も元から親しくしていたのでH脇さんと会う1時間くらい前に会って
夫婦4人で久しぶりで会話を楽しみました。
その時の会話で出たのが上記パソコンの話。
Nさんは理系なので、いろいろ知恵をだしてくださったのですが、
現物が側にないのでどうしようもなく
「誰か、詳しい人に容量を増やしてもらいなさい」という結論(笑)。
やっぱり(素直に納得)。
(その後、夫はNさんご夫妻に連れられて中州豪遊!)

そんな楽しい旅の後、
帰宅してから、パソコンに詳しい友人のY崎さんのご主人にお願いし、
容量をグーンと増やしていただきました。
気さくにお引き受けくださって感謝感涙です。
それで無事昨日の深夜に3時間もかけてデフラグも済ませ、
本日めでたく、このようにblogも更新できました。
前と違って、サクサク動いてくれます。
長い間悩んでいたことが、あっという間に解決です。

ということで、博多をはさんで、顔とパソコン、なおりました。
そして上記の事情で今まで更新できませんでした。
(わかったようなわからないような弁解ですね。笑)

最後に、今年の大阪女性文芸賞の応募総数は377作でした。
応募された皆様、ありがとうございました。
















テーマ : 雑記
ジャンル : 学問・文化・芸術

講座あれこれ(7月)

来月おこなう私の講座の案内です。
どれも地域限定ですが、可能な方で興味をもたれた方はお申し込みの上、おいでください。

「女性作家の生涯」
 第1回 林 芙美子 7月1日(水)午後2時から3時半
 第2回 宇野千代  7月8日(水)   〃
 第3回 森 茉莉    7月15日(水)  〃
料金無料 
 会場 守口市立西部公民館 電話06-6993-1341
        大阪府守口市文園町8番8号
*守口市民対象、(隣接する市でFMーHANAKOが受信できる地域の方も特別OKのようです)


●高齢者教室・ふるさと学園・第3回
「大河ドラマ考察『天地人』」
 7月23日(木)午後1時半から3時
料金無料
会場 川西市多田公民館 電話072-793-0011
      兵庫県川西市多田院1丁目5番1号
*60歳以上の川西市民が対象
 ここでは毎年歴史の話で、NHK大河ドラマの話をしています。だから今年は直江兼続の話です。


●講座ではないですが、私のコラム、“ブレイクタイム”掲載の季刊専門誌『鍼灸OSAKA93号』が発売になりました。今回のタイトルは「宇野千代のエイジングケア」です。よろしければ置いてある書店ででもご覧ください。


テーマ : お知らせ
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

尾川裕子

Author:尾川裕子
大阪女性文芸協会代表
日本文藝家協会会員

「晴れたらいいね」というタイトルは、「毎日が明るい日であればいいね」と思う気持ちと主催している文学賞の応募者に「あなたの作品が受賞できたらいいね」という思いを重ねたものです。

応募希望者は「応募希望者へ」と「大阪女性文芸賞」のカテゴリをごらんください。

おしゃべりと食べることお酒を飲むことが大好きです。
文学だけでなく歴史オタクでもあります。
どうぞよろしく。

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